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お客様の笑顔をつくりたい。そんな銭湯でありたいと思います。(武蔵小山温泉ブログ)


戦前は銭湯の黎明期、そして戦中は燃えさかる戦禍に銭湯までも燃やされてしまいましたが、戦後は高度成長期とともに銭湯の勃興期のピークを昭和43年にむかえて、それ以降は、廃れる一方の銭湯業界。けっして清水湯だけが廃れて言ったわけではなかったようです。その根本原因はお客様を見失ってしまったことが最大の原因だと思います。昭和の初めから中ごろまでは自家風呂がなかったわけですから何もしなくてもお客様が一日の疲れ、そして汗を流しに来てくれる。だけど家にあるにもかかわらず、来てくれるお客様はなかなかいないでしょう。なかには長年の銭湯通いに飽きて家庭風呂に憧れをもつそんな時代も一時期あったように思います。それは銭湯の息子が長年の常連さんと銭湯で裸のつき合いをしているなかでの実体験ですが、「家に風呂が出来たらもう来ないかもな・・・」と言われた時は僕の心の中で銭湯の将来、清水湯の将来がとても暗く感じたことなんです。

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子供のころから銭湯の風呂にはいって、銭湯で稼がせていただいたお金でご飯を食べさせていただいて、その銭湯が「今日はあそこがやめた」「こんどはあそこがやめる」という会話が増えてきたのはひさしく続いているように思うのは本当に悲しい事なんです。風呂屋がお客様を見なくなったのは一つは番台の作り方も原因があるのではと思うんです。昔の清水湯の番台も入り口に背を向ける形でありました。お客様がはいってきても背を向けたまま見た目はテレビを見たままあまり感謝の想いも込めずに「いらっしゃい」と目も見ずに言っていたのではお客様の心も離れて行ってしまうことでしょう。風呂屋なのにお湯を使うのを制限するのも気もちは節水をもとめたいのはわかりますが、やはりお客様からするとやな風呂屋になってしまいます。先代でうまくいっていたからといって、時代とともに経営環境がかわってくることを勘案しても、基本であるお客様に喜んでいただくためには何をしなくてはいけないのかを、忘れてはいけないと思うんです。これからも、その未来も続く銭湯を僕は続けていきたい。お客様に喜んでいただける銭湯それは、家庭の風呂にもない、銭湯にしかない心から笑顔になっていただけるそんな銭湯を続けていきたいと思います。

武蔵小山温泉 清水湯若旦那談。